第25回 中国地域ニュービジネス大賞表彰式
日時:平成29年5月31日(水)15:00~
会場:リーガロイヤルホテル広島
中国地域ニュービジネス大賞
~経済産業局長賞、一般社団法人中国地域ニュービジネス協議会会長賞~
「音素材マーケットプレイス『オーディオストック』」
-(株)クレオフーガ〔岡山県岡山市〕-
音素材マーケットプレイス「オーディオストック」は、プロアマ問わず全国の音楽クリエイターが制作した音素材(楽曲、効果音、ボイス)を、企業や個人へオンライン上で販売するサービスである。現在5万点以上の音素材を取扱い、2000社を超える法人(主な顧客層はテレビ局、広告代理店などを中心としたデジタルコンテンツを制作する企業)に利用されている。一般の音楽クリエイターから楽曲や効果音を集める「マーケットプレイス」型のサービスは国内初のサービスである。
Youtube動画、デジタルサイネージなどこれまでに存在しなかったデジタルコンテンツが昨今、爆発的に増えているが「動画に音楽を入れたいが権利関係が難しくてどうしたら良いか分からない」といった声が多い。そこで当サービスを通じて簡単に楽曲を取り入れる機会を提供し、音楽クリエイターには自身の作品を収益化する支援をしている。
パソコンや音楽機材の発展によってアマチュア音楽家でも低コストで高品質な音楽が制作できる環境が整ってきたことを背景に、月間1000点以上のペースで新作音素材が追加されており、今後、アジアを中心とした海外展開も計画されている。
中国地域ニュービジネス優秀賞
~一般社団法人中国地域ニュービジネス協議会会長賞~
「利用者・管理者に優しい次世代型コインパーキング」
-(株)英田エンジニアリング〔岡山県美作市〕-
従来の車止め装置は地面から突出しており、車室に凹凸があることでコインパーキングを敬遠している利用者が多いが、車止め天板と地面が面一なボックス型車止め装置「ゼロフラップ」により地面との段差をなくし、車両の破損等を気にせず、安心安全に駐車することが可能となる。
また、コインパーキング運営には常に早急な対応(売上確保の為の赤字事業地の解消やトラブル対応)が必要で、運営者への負担が大きい。「iPark’nコンシェル」は、多角的な分析が可能なグラフ機能及びアラート機能、精算機からの売上・入庫情報をビッグデータとしてデータベース化、インターネット環境があれば利用可能なWEBソフト化、精算機ステータス情報の自動メール配信機能並びに精算機や車止め装置への遠隔操作機能により、運営者の負担を減らし、リアルタイムに対応が可能となる。例えば、売上推移だけでなく、利用時間、利用料金の割合、入庫時間等、売上以外の情報をリアルタイムに確認できることで入庫率や利益率の大幅改善を達成している。
「3Dレーザースキャナを用いた船舶改修工事と技術応用」
-(有)柏原工業〔広島県尾道市〕-
三次元レーザースキャナを用いて構造物を精密に計測し、計測データを活用することで既存の工事手法の刷新や効率化を行う。図面の失われた案件や改修を繰り返した案件の三次元現況図を作成し、既存部との干渉や図面との誤差に起因するトラブルを回避。作成した現況図は施工等の工程でも活用でき効率化にも寄与できる。
船舶を例に挙げると、海域間の生物汚染を防ぐバラスト水処理装置の搭載を義務化する「バラスト水管理条約」により、5年間に数万隻ともいわれる数の施工を行う必要があるが、従来の工法では計測等で何度も訪船調査を行う必要があった。本方式では、レーザースキャナの導入により原則一度の訪船で調査を完了できるようになった。国際的に競争が激しく、また人口減で作業者の確保が難しい造船業界においてコスト削減と処理能力向上に大きく貢献するものである。
また、レーザスキャナデータの3Dモデル化は膨大な作業量を要するため、人件費の高い日本では採算を合わせるのが難しいが、デジタルデータのメリットを最大限に生かすためベトナムに現地法人を設立し、インターネットを用いることで現地の豊富な人材と低廉な賃金体系を活用し、技術的・コスト的にも大きな優位性を有している。
「粉体形成技術によるニッチ市場への挑戦」
-モルタルマジック(株)〔鳥取県鳥取市〕-
日本で唯一モルタルマジック社だけが有している「粉体を風合いを残した状態でさまざまな形に固める」技術で、鳥取砂丘の砂、桜島の火山灰や富士山の土のような粉体を固めて作成したキャラクターグッズ等を制作し、土産物として販売している。全国の天然資源や不要となった資源に注目し、その資源(粉体)とご当地に縁のあるキャラクター等を組み合わせ、その土地ならではの商品(鳥取県=鳥取砂丘の砂+ゲゲグの鬼太郎、熊本県=阿蘇火山灰+くまモンなど)を製造している。観光客が実際に触れたり見たりした資源を商品にしていることが他にない付加価値となっている。
全国にはまだまだ多くの埋もれた資源があり、その資源(球場の土、土俵の土、世界のメジャーな海岸の砂、不要となったもみ殻・貝殻・茶殻など)を発掘し、商品化することで市場は無限の広がりをもっている。また、JAXAと宇宙利用として、月面レゴリス(月の砂)を母材とした形成技術の共同研究も行っている。
中国地域ニュービジネス特別賞
~一般社団法人中国地域ニュービジネス協議会会長賞~
「業務を大幅に効率化するふるさと納税システムの事業化」
-(株)エッグ 〔鳥取県米子市〕-
「ふるさと納税」制度で寄附を受ける自治体の業務を大幅に効率化するシステムを開発した。エクセル、アクセス等の一般的な表計算ソフトやデータベースソフトでは実現できなかった、クレジット決済情報の取り込みや、寄付証明書等の帳票印刷を可能とした新技術を多数取り入れ、自治体担当者の負担を軽減できる簡単で分かりやすいシステム導入のニーズに応えている。
また、決済システムを運用する「Yahoo!公金支払い」など決済代行業者や寄附受付窓口となるポータルサイト運営会社、お礼の品を発送する宅配業者とも連携し、関連業務を本システムで支援している。
全国で最初にふるさと納税システムを開発したこともあり、開発実績年数が長く、自治体によって追加機能が異なるが、他の自治体で利用されている新機能を紹介することにより、自治体ごとのバージョンアップを可能としているところに、競合他社との優位性がある。
「BUSitインバウンド対応バスロケーションシステム」
-(株)タウンクリエーション〔広島県広島市〕-
インターネット環境で稼働するクラウド型システムを採用、バスに装備するGPS車載器に汎用性のあるAndroid端末を利用するなどで、ローコストで高性能なバスロケーションシステムを実現した。
主要メーカーは高額な車載専用機を利用し、複雑な車両取り付け装置が必要で載せ替えが自由にできないが、本システムはAndroid端末利用のため、リプレイス時は車載器入替だけで利用を続けられ安価である。センターシステムにクラウドサーバを利用することで、どこでもリアルタイムに運行管理が行えるし、導入後の機能のバージョンアップや監視も容易である。ドライバーの運行中操作は不要であり、運行ルートの確認、リアルタイム運行遅延確認、会社からの運行指示の自動音声読み上げなど、ドライバーの運行サポート機能も持っている。
また、バス利用者の案内はNFC技術によりスマートフォンをバス停のステッカーにかざすだけで利用でき、そのほかQRコード・WEBサイトから誰でも簡単にスマートフォン、タブレット、パソコンから、バス停にあと何分でバスが到着するかを知ることができる。多言語対応しており(現在5か国語案内)、オリンピック開催までにインバウンドの2次交通のツールとして日本中で公共交通機関を便利に利用できるよう展開を計画している。
「管理委託方式紙おむつコンサルティング事業」
-(株)ニシウラ〔鳥取県鳥取市〕-
通常は、施設担当者が不足する紙おむつを発注し、入庫を記録して使用状況に応じて不足を把握し補充するが、日々使用する紙おむつの在庫量を適正に保つには、手間と相応の知見が求められる。さらに紙おむつは医療用具に準ずる取り扱いが求められるため、おむつを取り扱うフィッティング技術も必要となる。
鳥取県が取り組む中小企業の海外展開支援事業により中国市場への参入をスタートさせたが、中国のみでなくアジアの発展途上国での紙おむつ重要は急速に拡大しているため、紙おむつを正しく使用するためのフィッティング技術の重要性もますます高まることが見込まれる。
「舗装工事の生産性を6~9倍に高めるFKメッシュパネル工法」
―(株)藤崎商会〔広島県広島市〕―
独自開発した専用機で鉄筋を斜交網状に加工したメッシュパネルを工場にて生産し、工事現場ではすでに網状に組み上がったメッシュパネルを路面に敷設することで鉄筋コンクリート舗装工事の生産性を6~9倍に高める国内初の工法「FKメッシュパネル工法」を開発した。
これにより、従来からの専門職の鉄筋工が位置を測りながら鉄筋を一本一本手作業で網状に設置し、すべての交点を結束するというきつい現場作業を、職人の熟練度に依存することなく施工できるようになった。
本事業の連続鉄筋が用いられるコンクリート舗装は、従来のアスファルト舗装に比べインフラの長寿命化につながるとして、国土交通省が全舗装におけるコンクリート舗装の比率を30%に引き上げる(現6%)指針も出していることから、今後も大きな需要が見込まれる。
「小規模農家連携による直売型狭域野菜流通事業」
-(株)まごやさい〔広島県安芸高田市〕-
主要顧客層の飲食店(大規模チェーン除く)は、地元野菜へのニーズが強い一方で、主要仕入先の卸業者やスーパー(共に市場仕入中心)ではなかなか地元野菜が揃わない状況にあるが、当事業ではほとんど市場に流通していない小規模農家の野菜が安定的に出荷され集約・即販売できる仕組みを構築している。
また、少量多品種の野菜を作る農家が中心のため多種多様な旬の野菜(年間300種類以上)を品揃えできる。地元の旬野菜を多種揃え、簡易に注文でき、直接店舗まで納品できるため高い評価を得ている。
広島県での成功モデルをブラッシュアップし、クラウドサービスとあわせて他県に展開する計画である。
「ラクサス(ブランドバッグのシェアリングサービス)」
―ラクサス・テクノロジーズ(株)〔広島県広島市〕―
同業他社と比べて大きく優れる点は、認知、利用率が国産サービス1位、商品種類数業界No.1(16,000種類)、CtoCのプラットフォーム化(ユーザー所有バッグを「ラクサス」を通じて他のユーザーに貸し出す)の3点である。
AIにより顧客に最適なバッグをレコメンド、IT技術の活用によるユーザー登録の簡略化、IoT技術(ICチップ)による効率的なバック管理など、革新的取り組みも自社開発で行っている。
現在、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ミラノ、ソウルなど、世界26か国38都市でアプリをローンチ、大幅な売り上げ増が見込まれている。過去に英会話教材を世界85か国に販売した実績があり、その経験やノウハウが各国でのサービス提供を可能としている。
以上