第26回 中国地域ニュービジネス大賞表彰式
日時:平成30年5月29日(火)15:00~
会場:ANAクラウンプラザホテル広島
中国地域ニュービジネス大賞
~経済産業局長賞、一般社団法人中国地域ニュービジネス協議会会長賞~
「ASRや塩害により劣化したコンクリート構造物の補修技術」
-福德技研(株)〔広島県広島市〕-
コンクリート構造物の劣化は、塩害・中性化等の鉄筋の腐食によるものが主で、構造物を安全に保つ目的の鉄筋が腐食すると構造物が危険にさらされる。
このたび実用化した「リハビリ工法」は、コンクリート表面から小径の削孔をしてコンクリート中の劣化因子(塩化物イオン・二酸化炭素)の量に合わせて防錆効果の高い防錆剤(亜硝酸リチウム水溶液)を油圧もしくは気圧で圧入し、防錆雰囲気を確立して鉄筋の腐食を止める工法である。
従来の工法は、欠損部や空隙を埋め戻すもの(断面修復・ひび割れ注入など)で、劣化の原因対策ではなかったため再劣化と補修を繰り返してきたが、本工法では鉄筋の腐食を止めコンクリート構造物を再劣化させないことから、近年、鉄筋コンクリート構造物の有効な延命化技術として土木分野の重要構造物で多く採用されている。また、建築においても採用されており、今後大いに期待される分野である。
「コンクリート構造物の健康寿命を延ばす」がこの技術のねらいである。
中国地域ニュービジネス優秀賞
~一般社団法人中国地域ニュービジネス協議会会長賞~
「患者に歩く喜びと笑顔を届ける歩行補助装置」
-(株)スペース・バイオ・ラボラトリーズ〔広島県広島市〕-
早稲田大学(田中教授)と広島大学(弓削教授)との約8年間の共同研究を経て、脳卒中後の片麻痺患者に対する歩行補助装置「RE-Gait」を製品化した。「RE-Gait」は、服の下に隠れるほど超小型軽量(総重量1kg)で、短下肢装具に似た形状で患者やセラピストにも受け入れられやすく、数秒で装着できる。また、靴の中に入れた足圧センサーをトリガーにして,個別にプログラム化した歩行パターンに応じて、これまでできなかった歩行中の足首の動作を補助するため、麻痺患者でも使用できる。
平成28年10月の製品リリース以降、総販売元のオリジン社を通じて病院やリハビリ施設に納品し、歩行リハビリに活用され、患者の歩行機能が向上する成果があがっている。また、導入先からもリハビリ効果のアウトカムが上昇することにより、在院日数の短縮に繋がり、ベッドの回転率も上がるとの評価を得ている。
昨年7月には、数少ない医工連携の成果として、 BS-TBS「夢の鍵」などで取り上げられ、国内外から多くの引き合いがきている。
脳卒中は「介護が必要となる原因」の第1位で、「寝たきりになる原因」の4割を占めており、この状況を打開する装置として期待が高まっている。
「次世代作物で農業革命を、日本をバナナ輸出国に」
-農業法人(株)D&Tファーム〔岡山県岡山市〕-
「バナナは南国でしか育たない」そんな常識を40年の研究の末にひっくり返した。
弊社独自の植物品種改良技術「凍結解凍覚醒法」を用いて、輸入に頼るバナナを国産化し、今後、生産量増加に併せて海外マーケットへの輸出を開始していく。
バナナは年間100万トン以上が輸入され、日本人が食べるフルーツの中で圧倒的に消費量が多い巨大なマーケットである。現在、岡山生まれ・岡山育ちの無農薬・有機栽培「もんげーバナナ」を高級フルーツとして販売しているが、豊かな香りと甘み・とろみのある食感が特徴で、安心・安全に対する顧客ニーズにもマッチして高い評価を得ている。
価格差のある輸入品に対しては、消費者の強い国産品志向で十分な競争力があると考えており、「皮まで食べられる」というアナウンスは新規性を持って受け入れられている。
「ハンドアイ3Dカメラによるロボットピッキングシステムの製品化」
-(株)YOODS〔山口県山口市〕-
ピッキング・計測用ロボットの目として、アームに搭載できる小型・軽量の3次元計測カメラ(YCAM3D)を開発し、平成28年10月から販売を開始している。
3次元計測カメラは海外製品が主流で国内製品はほとんどなく、ピッキングは国内製品が幾つかあるが3次元計測カメラが定点設置であるため小さいワークが認識できない欠点を有している。一方、弊社製品はロボットアームにカメラを装着することで小型のワークを認識可能にし、更に多方向から撮影することで、物体認識の確率・安定性を向上させた。
ロボットピッキング・ロボット計測は、人手不足の問題を抱える製造業で注目されており、展示会(国際ロボット展、機械要素技術展など)及び商談会(やまぐち産業振興財団、中国経済産業局)へ出展して拡販を図っている。さらに販売を加速するため、大型部品の計測・ロボット組立の用途への対応に向け、高輝度プロジェクトを内蔵した小型・計量化した3次元計測カメラの開発製造を進めている。
中国地域ニュービジネス特別賞
~一般社団法人中国地域ニュービジネス協議会会長賞~
「多目的スモールハウス事業の全国展開」
-(株)植田板金店 〔岡山県岡山市〕-
これまでの日本の「小屋」は、構造や材質が「倉庫の延長線上」のものが多いなどの理由からそれほど普及してこなかった。
弊社の小屋シリーズは、耐候性と防水性に優れたガルバリウム鋼板などの本格的な構造材・屋根材・外壁材を用いていることから快適な居住性を確保し、トラックに積み移送して設置するだけという「簡易性」にも優れ、価格は100万円を切るものである。また、バリエーションが豊富で、女性のスモールビジネスの「起業拠点」として、男性の「趣味部屋」として、地域の「コミュニケーション・防災拠点」としてなど多目的に活用シーンが広がっている。
このような本格的な「小屋」は市場になく、マスコミに取り上げられたこともあって、全国から引合いがきている。
雨天時でも屋内で作業できる「小屋」事業の全国展開で、人材育成で悩む建築業界にとって、もたスモールビジネスでの起業を後押しする意味で「働き方改革」に貢献していく。
「個性的な階段の提案型営業による市場開拓」
-(株)タハラ〔広島県廿日市市〕-
国内唯一の階段専門メーカーとして、多品種少量生産やオーダーメイドへの対応力を強化し、別注に強い生産体制の確立と提案型の営業戦略を展開している。
これまで一般的ではなかった、工務店や施主が家づくりの中で「階段を選ぶ」という新たな選択肢を提案することで、市場内でのシェアを拡大している。
戸建て住宅の階段市場は、大手建材メーカーによる大量生産型の規格品が大半を占めているが、近年の注文住宅の多様化により別注によるオーダー型階段のニーズも増えており、そのニーズに着目し、階段の潜在的な魅力をより引き出すことで業績を伸ばしている。
これまで階段は機能面だけが重要視されてきたが、弊社では他社に類を見ない独自のアイデアや斬新なデザインなどの付加価値により、新たな需要を掘り起こすオンリーワンの企業を目指している。
「陸上循環濾過養殖システムの事業化」
-(株)鳥取林養魚場〔鳥取県鳥取市〕-
地下水を利用した陸上循環濾過水によるギンザケ養殖を他社に先駆けて商業ベース化。サーモン養殖及び「循環濾過養殖システム(RAS:Recirculating Aquaculture System)」でも最先端を行くノルウェーでの実績と技術をベースに、国内で特許取得(親会社)した世界最先端の養殖システムにより、陸上でのギンザケ養殖が可能となり、高密度・高効率・高い歩留り・高い競争力を実現した。密閉させた建物内で、汲み上げた新鮮な地下水を元に循環濾過しながら育成させるため、従来のかけ流し方式に比べ、害鳥獣・水質汚染・ウイルス・気候変動等による毀損率を圧倒的に低減させることができる。また、国内では海水温の関係で不可能だった通年生産も、水温管理ができることから海水温が高くなる5月以降でも成魚の飼育が可能となり、通年、高鮮度で高値販売を行うことができる。漁港内にプラントを建設したことで、船での大量出荷が可能となり同業他者に比し輸送面の優位性も高い。
「広島の象徴的商業施設「おりづるタワー」の企画、運営」
―(株)広島マツダ〔広島県広島市〕―
世界遺産『原爆ドーム』の隣に、地下2階・地上14階建の複合商業施設「おりづるタワー」を建設し、企画・運営を行っている。
1階はカフェと物産館、2階は貸会議室、3階から11階は貸オフィス、12階はワークショップフロア、13階は展望フロアとなっている。
1階から13階展望まで、‘スパイラルスロープ散歩坂’で歩いて昇り降りができ、壁面には漫画家 佐藤秀峰氏が広島の街の復興発展を描いた作品を楽しむことができる。
ワークショップでは様々な折り鶴をテーマにしたデジタルコンテンツを用意しており、外壁のガラス張り空間『おりづるの壁』には折り鶴を折って投入することができる。この空間を埋めるには100万羽の折り鶴が必要で、人々の祈りや願いなどが蓄積し、時間をかけて壁を彩っていく。
「外観・内部共に人を再現した生命感じるロボット“mikoto”」
-(株)MICOTOテクノロジー〔鳥取県米子市〕-
医療教育用シミュレータ「mikoto」は、鳥取県の委託事業により、平成28年2月から鳥取大学医学部附属病院と共同で開発をスタートし、1年で開発した。その後、事業を全国に拡大するため、大手医療機器商社㈱カワニシホールディングス(岡山市)グループと当製品の総販売代理店契約を締結し、PR、販売活動ともに事業を一気に加速させた。同時に、国内のみならず海外へ向けても展開している。「mikoto」は、医学部生や研修医等が利用するもので、気管挿管、内視鏡検査、喀痰吸引手技の3つの手技をトレーニングすることができ、外観・内部共に『人』を再現したシミュレータである。複数の医師と深く連携した解剖学的な臓器の作り込みと、人が起こす生体反応などのロボット技術を組みわせたこれまでにないシミュレータを開発し、事業を展開している。